心原性脳塞栓症(65歳 女性)

現病歴・経過等

【主訴】
話さない、倒れている

【既往歴】
20歳台:偏頭痛
36歳: 溶連菌感染後急性腎炎、48歳時に透析導入
62歳:発作性
心房細動で内服歴があったが、出血傾向がありワルファリンを一旦中止(2年以内)同年: 大動脈弁狭窄症 片頭痛の既往あり

【現病歴】
ADLは全自立、入院前modified Rankin scale grade0。
2015年10月6日透析をしていた。
13時頃に透析終了、15時までは居間に座っていた。17時前に夕飯の支度をしていた。
17時20分頃、夫がゴミを出すときはいつもと変わりなかった。
17時25分に居間に戻ってくると倒れているのを発見、眼球上転し、その際は起き上がろうとするが言葉がでない状態であったのを夫が発見、救急要請した。
I病院に搬送、17時50分頃に救急搬送となった。
MRIで左島皮質、前頭葉に梗塞巣、MRAで左MCA1閉塞を認めた。
血小板数が8万/μlとt-PA静注両方は禁忌であったため、血栓回収の適応と判断され、当院へ転送となった。

【嗜好歴】
喫煙歴:なし(受動喫煙は5-6年前)、飲酒歴:機会飲酒

【職業】
無職

【家族歴】
母:脳卒中で死亡 兄弟はいない

【入院前内服薬】
カルタン2.7g分3、エルカルチン(250)2T分2、ビソノテープ(4)1枚 以上
S病院で処方

【現症】
身体所見:身長150cm、体重48kg、血圧113/81mmHg、脈拍70/分・整。体温37.2℃、心音、整、雑音なし。呼吸音、清。頚部血管雑音なし。下腿浮腫なし。
神経学的所見:JCS3、全失語、瞳孔径3mm/3mm、対光反射+/+、眼球運動障害なし、人形の目現象+/+、
視野正常、右中枢性顔面神経麻痺あり、右片麻痺(MTT 上肢1、下肢1)、右半身の感覚低下(痛覚)、
Babinski反射-/-、Chaddock反射-/-、歩行、NIHSS 26点。
神経所見のまとめ:全失語、右片麻痺

【プロブレムリスト】
#1.心原性脳塞栓症(2015.10.6発症 左MCA領域)
#2.左中大脳動脈閉塞症
#3.発作性心房細動
#4.慢性腎不全(維持透析中)
#5.鉄欠乏性貧血
#6.大動脈弁狭窄症

【記述欄】
#1. 心原性脳塞栓症(2015.10.6発症 左MCA領域)
#2.左中大脳動脈閉塞症
#3.発作性心房細動
I病院で搬送後頭部MRI施行、左前頭葉、島皮質にEICを認め、左M1遠位部閉塞であった。
ウロキナーゼ6万単位で加療するも症状改善しなかった。家族の希望により脳血管内治療のため当院へ転院搬送、20時40分カテーテル室入室した。20時50分穿刺し、Trevo ProVueで1passしたところ、TICI3の再開通を得た。Trevo ProVueで血栓回収後、10月7日(第2病日)に運動性失語、右片麻痺あるも、麻痺の程度は改善した。治療直後はNIHSS13点、10月8日運動麻痺
改善し、NIHSS7点となった。10月14日のTEEではLAA内血栓ないことを確認した。以後二次予防はワルファリンとした。退院時NIHSS4、mRS grade1。

#4.慢性腎不全(維持透析中)
腎臓内科で血液維持透析を施行した。
#5.貧血
10月8日Hb6.1g/dlと低下、同日MAP2単位投与、以後Hb上昇したが、再度10月13日にHb6.8へ低下。
MAP2単位を施行した。10月14日全身CT施行するも、皮下血腫以外に明らかな出血源を認めなかった。
鉄低下、フェリチン上昇しており、二次性貧血パターンであった。血液内科  先生にコンサルト、
MCVが高いのはエリスロポエチン製剤によるものであり、クエン酸第1鉄Naを投与して貧血が改善するかを治療的診断する方針となった。
#6.大動脈弁狭窄症
循環器内科に紹介、術前精査を含め、リハビリテーション後に治療検討することとなった。

【検査/処方/他】
心電図:(入院時)心房細動、HR142/分、左軸偏位。
胸部レントゲン写真(臥位):(10/8)CTR 59%、心拡大あり、肺野異常陰影なし。
頭部CT:
(入院時)ASPECTS法で10/10点(早期虚血病巣:なし)。
(10/7)左島部の皮髄境界が不明瞭化。左頭頂葉、左尾状核頭部にみられる陳旧性の梗塞巣あり。出血性の変化の出現なし。
(10/9)著変なし。
(10/14)左頭頂葉に萎縮を伴う不整形の低吸収域を認める。左被殻淡蒼球を中心に軽度の腫脹を伴う経度の吸収値の低下あり。
(10/20)著変なし。
胸腹部CT: (10/14)心拡大を認める。冠動脈壁の石灰化を認める。大動脈弁の石灰化を認める。
両側性に少量の胸水を認める。両側腎の萎縮が著明。腹水は認めない。右鼡径部皮下に
5×2.5cmほどの高吸収腫瘤(65HU前後)が認められ血腫と思われる。周囲の脂肪層にも不均一な吸収値の上昇が見られる。
骨盤内には明らかな血腫の進展は認めない。
頭部MRI:(入院時)DWIで左前頭葉、左島皮質に新規脳梗塞巣あり。陳旧性脳梗塞を左頭頂葉皮質に認める。ASPECTS-DWIで9/11点(早期虚血病巣:島皮質、左M4)。FLAIRで脳室周囲白質病変は脳ドック分類でgradeI。T2*で微小出血あり、
Susceptibility Vessel sign(-)。
頭部MRA:(入院時)左M1 distal occlusion。
血液検査:
(受診時)WBC 4650,Hb8.6,Plt 8万,D-dimer 2.4,CRP 0.98,Cr 4.10
(当院入院後)白血球5.39×10^3/μL,赤血球2.06×10^6/μL,Hb7.0g/dL,Ht22.3%,血小板7.50×10^4/μL,MCV108.3fl,MCH34.0pg,MCHC31.4g/dL,好中球63.0%,リンパ球21.3%,
単球7.1%,好酸球8.2%,好塩基球0.4%,PTsec13.9 SEC,PT.INR1.20,
APTT36.9秒,APTT対照26.1秒,Fbg427mg/dL,D-ダイマー1.78μg/mL,AST18U/L,
ALT4U/L,LDH213U/L,ALP209 U/L,
γGTP19 U/L,CHE214 U/L,AMY86 U/L,CPK46 U/L,Na143.5mEq/L,
K5.00mEq/L,Cl111.3mEq/L,Ca8.2mg/dL,BUN27.2mg/ dL,Cre5.56mg/ dL,
UA3.9mg/ dL,TG59 mg/ dL,LDL-C109.6 mg/ dL,HDL-C58.4 mg/ dL,T-Bil0.53 mg/ dL,CRP2.12 mg/ dL,Alb2.8g/dL,TP6.2 g/dL,血糖90 mg/ dL,HbA1c(NGSP)5.2%,
HbF1.4%,TSH2.39μIU/mL,FT4 1.02ng/dL,BNP1706.3pg/mL,
感染症なし

【退院時の方針】
退院後の方針:10月26日Y病院へ入院での回復期リハビリテーション、維持透析目的で転院となる。
退院時処方:
●RP01
<0.5mg>ワーファリン錠   1錠
<1mg>ワーファリン錠    1錠
..【分1】1日1回:夕食後  7日
●RP02
<4mg>ビソノテープ【車注】  7枚
..1日1回貼付する
●RP03
クエン酸第一鉄Na錠50mg「サワイ」(フェロミア)(鉄剤)  2錠
.. 【分2】1日2回:朝夕食後  7日

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