岩手県立中央病院の救急医療体制とは?統括副院長(救急担当) 野崎英二

救急統括副院長に聞く!救急センターと各療科の専門医が連携県立中央病院の救急医療体制とは?岩手県立中央病院 統括副院長(救急担当)
野崎英二

photo地域の51%の救急を受け入れる全診療科一丸の救急体制岩手県立中央病院は、盛岡医療圏の救急医療を支え、県民の命を守る基幹病院として、「救急車の受け入れを断らない」ことを病院のミッションに掲げています。
救急車受け入れ台数は、年間6,400台、一日平均では18台で、盛岡の半分以上に及ぶ救急搬送に対応していくために、様々な努力と工夫を行っています。
救急医療を担う「救急センター」の体制は、平日の日中、総合診療科の医師と研修医3名を中心に初期対応にあたり、容態が安定した後に各診療科へ引き継ぎます。夜間休日には、約10人の医師が常駐し、初期対応は第1、第2当直と呼ばれる班が対応、初期対応以降の処置を第3当直と呼ばれる班が担い、経験豊かな総合診療医が司令塔となり治療を行います。より専門性の高い治療が必要な場合には、初期対応の後、脳神経、循環器センターの専門医と、内科系・外科系の専門医師が症状に応じて治療にあたります。
また、全診療科の医師と「救急センター」の医師がスムーズに連携できるよう、また、院外の診療所やクリニック、救急車の救急隊員が直接連絡できるように、当院の医師は、医療用PHSを常に携帯しています。
救急部門のスタッフだけでなく、各診療科の医師が救急の現場をバックアップすることで、盛岡市の全救急搬送数の51%におよぶ救急車の受け入れと「救急車を断らない」体制を実現しています。
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高齢の救急患者が増え続ける盛岡市の医療を支える盛岡市とその周辺の市町村からなる盛岡医療圏の救急車の出動回数は、高齢化の影響も重なり年々増え続けています。一方で、盛岡医療圏の3つの基幹病院(中央病院・日赤・岩手医大)の10年間の救急車の受け入れ台数の推移を見ていくと、当院のみが救急車の受け入れ台数を増やし続けています。この統計からは、圏内の救急出動の増加分を、当院の受け入れ能力の向上によって吸収していることが分かります。
盛岡医療圏の救急搬送で、近年増加が著しい症状は、高齢者がかかりやすい肺炎や脳梗塞、心不全などで、これらの症例に対応する総合診療科、脳神経外科、循環器内科の救急患者が特に増えています。
また、数年前までは70歳代の患者さんの救急患者が最も多かったのに比べ、現在では80歳代の方の搬送数が最も多くなっています。この救急患者の年齢構成の推移は、盛岡市とその周辺で高齢化が急速に進んでいることを示しています。

高齢化、医大附属病院移転による医療ニーズの激増に備える努力近い将来、地域の高齢化による患者数の増加と重症化、さらに、医大附属病院の移転による当院への外来・救急患者の集中が予想されています。この問題に対応すべく、救急センターの司令塔となる総合診療科に、総合診療の専門医として実績のある須原先生を招聘、さらに脳センター、循環器センターを強化し、全診療科を挙げて救急医療体制の充実に努めています。
また、救急医療の担い手の多くは若い医師や研修医です。高い水準の救急医療体制を維持するには、多数の若手医師を確保する必要があります。
当院は東北でも有数の研修病院として、多くの優秀な研修医を受け入れ、教育を行っています。さらに、当院で研修を受けた医師が全国各地の病院で活躍、成長を遂げて当院に戻り、各診療科の主力となって活躍しています。
これからも、全診療科一丸となって、盛岡医療圏の地域医療を守るための人材の育成と、救急医療体制の充実に向けた努力を続けていきます。そして、地域医療を支えるという当院のミッションの達成には、県民の皆様のご支援と、救急医療に対するご理解が欠かせないと考えています。

photoprofile野崎 英二
岩手県立中央病院 統括副院長
昭和55年、東北大学卒。岩手県立中央病院にて、診療部長、救急医療部長等を歴任。東北大学医学部循環器内科臨床教授兼任。日本内科学会(指導医・認定医)、日本心血管インターベンション治療学会(専門医)、日本循環器学会(専門医)。岩手県立中央病院での活躍の他、循環器領域を中心に研究成果を精力的に発表する等地域医療への貢献を続けている。

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