『米盛病院ラーニングセンター』が見せる、民間病院の底ヂカラ 『米盛病院ラーニングセンター』が見せる、民間病院の底ヂカラ社会医療法人 緑泉会 米盛病院
理事長・院長 米盛公治

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2014年9月9日新築移転開業を皮切りに、民間医療用ヘリやハイブリッド手術室など、最先端な施策を次々と実現する米盛病院。

病院開業と同じく、病院併設の「米盛病院ラーニングセンター」もオープン。先進的なデモンストレーションが可能なセンターでの研修やセミナーは、自院以外の医療人の研修も可能という。

このセンターは、米盛病院と地域に対してどのような作用を引き起こすのか?
米盛理事長にお話を伺いました。

魅力的な医療環境の創造が、優秀な人材を地域に残す近道である

131211_Dr.yonemori2.jpgGALENUS、以下G)
2014年9月9日の新築移転と同時に、病院併設のラーニングセンターもオープンしました。ラーニングセンターの役割についてお伺いできますか?

米盛先生) 鹿児島県は毎年多くの医療人を輩出していますが、研修医と看護師の約5割が県外へ流出していると言われています。
では、彼らの就職先である病院が、著しく少なく就職先がないのかというとそんなことはなく、病院も数多くあります。
ではなぜ流出しているのでしょうか?
そのひとつの要因として、医療環境の魅力が不足していることが考えられれます。

病院は人がいなければ成り立ちません。そして医療人が少ないと言うことは、地域における医療産業そのものが衰退することに直結します。

幸いにも鹿児島は、医療人をしっかり輩出していますから、人を残すことに注力できる環境です。その中で我々民間病院が、地元に医療人を残すために貢献できることは何か? と追求したひとつの答えが、新築移転に伴い開設したラーニングセンターです。

鹿児島に医療人を残したい、そのために魅力ある『学びの場』を提供して行きたい、そんな構想がようやく実現しました。

当院のラーニングセンターが、鹿児島の医療環境の魅力アップに貢献できるよう努めていきたいと思っています。


人がいるから成り立つ、医療という『産業』を勃興するために『学びの場』を充実させることが大切

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G) 自院職員のスキル維持や底上げという意味での『学びの場』の提供は、様々な地域で多くの病院が取り組んでいますが、米盛病院のラーニングセンターは「地域全体へ貢献するという役割」とお考えなのですか?

米盛先生) 病院は、医療人も地域住民も含めて『人』がいなければ成り立ちません。だから、地域経済や人口動態が非常に重要になります。その地域経済の中で、医療を地域の産業として捉える必然性が生まれます。

病院は、たくさんの『人』が集まる場所です。病院を中心に「人が集まる流れ」が創造され、そこに集まる医療人も患者もその家族も、物を買ったり食事をするなどの経済活動を行います。医療経済的に言えば雇用も含め、地域産業の一翼を担っています。

また、『人が集まる』ということは病院だけが潤うのではなく、地域全体の底上げにも貢献できる可能性があります。

鹿児島も高齢化が進み、医療・介護の領域ではケアやキュアをする人材がますます必要となります。そういう人たちが鹿児島に戻ってくる、もしくは、流出しなければ『生産年齢人口』の減少は緩やかになりますし、県外出身者が鹿児島に集えば、ますます活性化するでしょう。

生産年齢人口が増えるということは、病院を中心とした医療産業だけでなく、地域経済の活性化に繋がり、少子化問題にも多少なりとも有効であると考えています。

しかし、これはすべての地域でできるわけではありません。

人口減少傾向にある地方の中で、ある程度の人材を残せる、もしくは呼び戻せる地域であることが前提で、県庁所在地を筆頭に、それなりの人口規模がないと、医療産業の勃興と地域経済の活性化はなかなか難しいでしょう。

だからこそ、まずは県庁所在地をしっかりと守ることが大切であると思います。

今の医療・介護全体の傾向をみれば、地域包括ケアや高齢者対策に重きを置かれていますが、この領域には少なからず手当てがあります。

その反面、地域の将来に非常に重要な、生産年齢人口に対しての手当ては、まだまだ少なく、この領域への手当ても平行して行わないと、将来、地域に人がいなくなってしまうのではないかと危惧しています。

様々な基金や助成金などを含めて、少子化や生産年齢層がもっと注目されることを望んでいます。

さて、こういう地域環境を鑑みたとき、医療人が重要視する『学びの場』の提供は、人材を残す上で、非常に重要であると思います。

当院のラーニングセンターは、生産年齢人口のど真ん中にいる鹿児島の医療人はもちろん、全国の医療人に向けて、鹿児島の『学びの場』に注目してもらうためのひとつのカタチとして、少しずつ機能し始めています。

また、地域全体を視野に入れた人材の発掘や掘り起こし、底上げなども少しずつ担って行きたいですし、将来の医療人を育てる啓蒙活動の一環として、子どもたちに「医療に触れあえる場」というのも提供して行きたいと思っています。


「職域の拡充」「職場環境の充実」「学びの場」を中心に改革。職員と地域への貢献を考える

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G) 米盛病院のラーニングセンターは、地域への貢献という役割ともうひとつ、「職員の学びの場」という役割があると思います。

米盛先生) もちろん、当院のスタッフのための「ラーニングセンター」でもあります。病院から一番近い場所で、気軽に利用できる施設を考えれば、病院併設が一番良いと考えました。

医療職はご存知のとおり、スキルを上げていこうと思えば、常に学びを重ねていかなければなりません。

キュアもケアも、スタッフそれぞれがスキルをUPさせ、医療職としての責任とやりがいを全うすることが、病院のレベルアップ、ひいては、地域医療のレベルアップにつながります。

ラーニングセンターを活用しながら、世界に通用するスキルを身につけてもらいたいと考えています。

また、わざわざ遠くまで出かけて研修に参加すると、本人へ負担がかかると同時に、交通費などのコストもかかります。そのコストをラーニングセンターにかければ、長期的にはローコストになりますから、病院経営にも将来的に貢献する施設であると考えています。

ところで、鹿児島はすごく良いところです。桜島というシンボルがあり、温泉もあり食べ物もおいしいです。しかし、これだけでは人材の流出は止められませんし、県外から招聘することも難しいでしょう。

人材の育成や確保、招聘において、当院が取り組んでいることは、民間医療用ヘリを含めた救急医療への取り組みや、レベルの高い整形外科の取り組みをベースとした「職域の拡充」、また、新築移転を機にシアトルズベストコーヒーやコンビニなどをテナントに入れたり、院内アメニティや職員食堂、院内保育を完備したりする「職場環境の充実」、そしてラーニングセンターによる『学びの場』の創造を中心に改革を継続しています。

この3つの軸がシナジー効果を生み出し、新しい魅力を創造することで、優秀な人材が集える医療環境となるのではないかと思います。

人を根付かせるには「魅力」を生み出さなければなりません。それには「素敵」「かっこいい」などの形容詞がなければ人は動きませんから、まずは、米盛病院と鹿児島を「良い」と思ってもらえるよう努力しなければなりません。

だからこそ、米盛病院はあえて「かっこいい病院」と医療人から形容されるようにしたいと思っています。

病院には似つかわしくない言葉かもしれませんが、すべては、魅力ある医療環境を創出するために、そして、地域経済を活性させるためのプロセスです。

ラーニングセンターを活用し、地域全体に貢献する「学びの場」を提供していければと思っています。

社会医療法人緑泉会理事長 米盛病院院長 米盛公治先生 プロフィール

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米盛公治(よねもり こうじ)/1965年9月9日生(49歳)
鹿児島県出身/医学博士
1997年3月鹿児島大学大学院医学研究科修了。
鹿児島大学病院、鹿児島県立大島病院などを経て1997年当法人入職、
2002年院長、2009年理事長に就任し現在に至る。

・鹿児島大学医学部 臨床教授
・鹿児島市医師会 理事
・鹿児島県医療法人協会 理事
・日本整形外科学会認定専門医
・日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
・日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科指導医
・BLSインストラクター
・ACLSインストラクター
・ICLSインストラクター
・ITLS basicインストラクター
・JPTECインストラクター
・Emergo basicインストラクター
・MCLSインストラクター
など、整形外科のみならず多種多様の内科・外科系救急指導資格も有する。

special thanks to Dr.YONEMORI/photo by YOSHIO KATAYAMA/text by GALENUS
※編集部の希望により、米盛先生には写真撮影にお付き合いいただきました。
appeared in 2014/10/18